金庫の盗難防止の方法

金庫の中の物を盗まれないようにするためには、まず「置き方」を考える必要があります。
これは中の物を出し入れする頻度にもよりますが、あまりその機会が無いのなら、金庫はできるだけ人の目に触れない所に隠すように置くのが一番です。
たとえ泥棒に入られても、相手が金庫の存在に気付かなければ盗まれることはありません。
もし壁や床下に埋め込むタイプの金庫なら、前に絵やイスを置いたり、敷物を敷いたりすることで完全に見えなくすることもできます。
ただし、ある程度頻繁に中の物を出し入れするなら、すぐ近くの開けやすい場所に置いてあった方がやはり便利ですから、その場合はどこまで盗難を警戒すべきか、バランスを考えて判断しましょう。
また金庫を置いてある部屋に至るまで、鍵のかかったドアが複数あると、持ち去りにくくなります。
金庫を泥棒から守るための工夫について考えてみましょう。
金庫の見た目と運び出し防止
金庫の見た目で防盗
「そもそもこれは金庫なのか?」という見た目の金庫であれば、盗難の可能性も低くなります。
デザインが金庫っぽくないものであれば、泥棒に気付かれる可能性も少なくなります。本などに似せてある金庫もありますから、そのような金庫も検討しておくと良いかもしれません。
金庫の運び出し防止
次に考えるのは「金庫ごと運び出す」という手口への対策です。
金庫の中にはキャスター付きの物もありますが、「移動が簡単」ということは「運び出されやすい」ということでもあります。
どんなに強固な金庫でも、丸ごと運び出されてしまえば時間をかけて開けられてしまいますから、これを防ぐため、絶対に必要という理由が無ければキャスター付きの金庫は選ばない方が良いでしょう。
また、床を傷つけないためのゴム足が付いている金庫も、床と金庫の底に隙間ができますから、そこに手を差し込んで持ち上げる、といったことがやりやすくなってしまいます。
しかし、普通の金庫でも、どちらかに傾ければ下に手を入れることは可能です。
そこで、金庫をボルトなどで床に固定してしまう、という方法もあります。この方法でも、工具を使って切断することは不可能ではありませんが、相手をあきらめさせるという効果が期待できます。
「ベースボード」という鉄の板もあります。金庫を持ち上げることがむずかしくなりますし、ドアよりも大きなベースボードにしておけば、部屋の外へ持ち出すことができなくなります。
泥棒は、「時間がかかる」ことを嫌がります。金庫が固定してあれば、金庫自体を奪うという選択肢は消える可能性が高いでしょう。
また、金庫に防犯ステッカー(「警報装置設置」など)を貼っておくだけでも、相手を警戒させ、金庫に触れるのをためらわせることができます。
単純に、狭いスペースに金庫が設置してあれば、作業スペースが少ないということでもあるので、泥棒にとってはやりにくいでしょう。
金庫の防盗のための基準と対策
金庫の防盗試験
防盗金庫に関しては、特殊な工具などの攻撃に耐える試験も行われています。
日本セーフ・ファニチュア協同組合連合会の規格による防盗試験です。15分、30分、60分と分かれており、それぞれ耐えられる時間によって等級(TL-15、TL-30、TL-60など)が分けられています。もし盗難の心配が高い方は、こちらの防盗試験の等級を参考にして金庫を選ぶのもよいでしょう。
なお、この「日本セーフ・ファニチュア協同組合連合会」のデータによりますと、金庫盗難事件の約半数が「扉こじ開け」によるものとなっています。約15%が「持ち去り」による盗難とのことです。
金庫の盗難の傾向
金庫の盗難の傾向も、より計画的になってきており、プロの窃盗集団による短時間の持ち去りなども増えてきております。専用の搬出用の台車のようなものを用いる集団もいるそうです。
100キロの金庫でも、大人が二人いれば持ち運びすることはできるのです。
やはり、本当に大事な金庫であれば、念には念を入れて対策を立てておいたほうがよいでしょう。
金庫の開錠対策
金庫の「番号」には特に注意しよう
最後に、金庫の開錠対策について考えておきましょう。
複数のロック方式が用意されている金庫の場合、もし「鍵+テンキー」のように二つ以上を組み合わせることができるなら、できるだけそうしておきましょう。開け閉めは面倒になりますが、開錠にかかる時間が増えるのは大きな利点です。
また、テンキー方式では、長期間使っているとよく押されているボタンに痕跡が残り、そこから暗証番号を推測される恐れがあります。
これを避けるため、暗証番号を定期的に変更するようにしましょう。
そうすると「暗証番号を忘れてしまう」という可能性もありますが、たとえば基本の番号にその月の数字を掛けたり(結果の先頭か末尾から必要な桁数を取り出す)、各桁に足したりする(9を超えたら1の位を使う)、といった方法で覚えやすくすることもできます。
ダイヤルをテープで止めるのは危険
金庫の中身はもちろん、金庫そのものも盗まれないようにする視点を持つことで、防犯効果はより一層高まります。
「ダイヤル錠をテープでとめている」という方は、開錠している状態と同じことですので、テープを外しておきましょう!
暗証番号がどうしても覚えられなければ、番号をメモして、他の人がわからない場所に保管しておきましょう。
金庫を盗難被害から守るために、日頃から意識しておくと良いですね。